「仕事中に頭痛が起きたとき、自分でできる対処法を知りたい」「首や肩をほぐしてもよいのか迷う」という方もいるのではないでしょうか。
セルフマッサージは、普段から経験している軽い緊張型頭痛に対する補助的なケアとして取り入れられることがあります。しかし、すべての頭痛に適しているわけではありません。片頭痛の発作中は、マッサージや入浴などの刺激が負担になる場合もあります。
この記事では、緊張型頭痛と片頭痛の特徴、頭痛時に行うセルフマッサージの注意点、医療機関を受診したほうがよい症状について解説します。頭痛の原因や感じ方には個人差があるため、無理のない範囲で参考にしてください。
頭痛時のセルフマッサージはタイプによって判断が異なる
頭痛にはさまざまな種類があり、セルフマッサージが取り入れやすいかどうかは頭痛のタイプによって異なります。
首や肩の張りを伴う緊張型頭痛では、リラックスや軽い運動、やさしいマッサージが補助的なケアになることがあります。ただし、セルフマッサージだけで頭痛が改善するとは限らず、効果の感じ方にも個人差があります。
片頭痛では、体を動かしたり、光や音などの刺激を受けたりすることで症状が強くなることがあります。発作中はマッサージを無理に行わず、静かな環境で休むことを優先しましょう。
また、突然発症した強い頭痛や、手足のしびれなどを伴う頭痛には、別の病気が隠れている可能性があります。いつもと違う頭痛をセルフケアだけで済ませないことが大切です。
緊張型頭痛と片頭痛の特徴
緊張型頭痛と片頭痛は、痛み方や動いたときの変化、伴う症状などに違いがあります。ただし、両方の頭痛を経験する方もおり、症状だけで完全に判断することはできません。
緊張型頭痛にみられやすい特徴
緊張型頭痛は、頭の両側や後頭部などに、締め付けられるような痛みを感じることが多い頭痛です。
- 頭の両側が痛むことが多い
- 締め付けられるような、重い痛みがある
- 痛みは軽度から中等度であることが多い
- 歩行や階段の上り下りなどで悪化しにくい
- 首や肩の張りを伴うことがある
長時間同じ姿勢で作業した日や、精神的な緊張が続いたときなどに症状を感じる場合があります。ただし、首や肩のこりだけが原因とは限りません。
片頭痛にみられやすい特徴
片頭痛は、神経系の働きなどが関係して起こる一次性頭痛のひとつです。
- ズキズキと脈打つように痛むことがある
- 片側に痛むことが多いが、両側に痛む場合もある
- 歩行や階段の上り下りなどで悪化しやすい
- 吐き気や嘔吐を伴うことがある
- 光や音、においを不快に感じることがある
必ずしも片側だけに痛みが出るわけではなく、ズキズキしない片頭痛もあります。痛む場所だけで判断しないようにしましょう。
判断しにくい場合は頭痛を記録する
頭痛が繰り返される場合は、次の内容を記録しておくと、医療機関に相談するときに役立ちます。
- 頭痛が起きた日時と持続時間
- 痛む場所と痛み方
- 痛みの強さ
- 吐き気、光や音への過敏などの症状
- 仕事、睡眠、食事、月経、天候などとの関係
- 使用した薬と服用後の変化
頭痛の頻度が増えている場合や、日常生活に支障が出ている場合は、脳神経内科、脳神経外科、頭痛専門外来などへの相談を検討してください。
緊張型頭痛で試しやすいやさしいセルフケア
普段から経験している軽い緊張型頭痛で、突然の強い痛みやしびれなどがない場合は、首や肩まわりをやさしく動かす方法を試せます。
痛みが強いときや、動かすことで症状が悪化するときは中止してください。
肩を上げ下げして力を抜く
- 背もたれのある椅子に座り、楽な姿勢を取ります。
- 息を吸いながら、両肩を耳に近づけるようにゆっくり上げます。
- 息を吐きながら、肩の力を抜いて下ろします。
- 無理のない範囲で3~5回繰り返します。
肩を勢いよく落とす必要はありません。呼吸を止めず、ゆっくり行いましょう。
肩の上をやさしくつかむ
- 右手を左肩の上に置きます。
- 肩の筋肉を手のひらと指でやさしく包みます。
- 痛みが出ない程度の強さで、20~30秒ほど軽くほぐします。
- 反対側も同様に行います。
強くつかんだり、痛みを我慢して押したりする必要はありません。「少し心地よい」と感じる程度にとどめましょう。
胸を開いて姿勢を変える
- 椅子に浅く座り、両手を腰の後ろで軽く組みます。
- 肩を下げたまま、胸をゆっくり開きます。
- 呼吸を続けながら10秒ほど保ちます。
- 2~3回繰り返します。
腕や肩に痛みがある場合は、手を組まず、肩甲骨を軽く寄せるだけでも構いません。
温める場合は症状を確認する
首や肩の張りを伴う緊張型頭痛では、温かいタオルなどを首や肩に当てると、リラックスしやすくなる場合があります。
ただし、ズキズキする痛み、吐き気、光や音への過敏など、片頭痛が疑われる症状があるときは、温めることで負担を感じる場合があります。症状が強くなるときは、すぐに中止してください。
首をマッサージするときの注意点
首には血管や神経などの重要な組織があります。セルフマッサージでは、次の点に注意してください。
- 首の前側や側面を強く押さない
- 痛みを我慢して深く押し込まない
- 首を勢いよく回したり、ひねったりしない
- 首の関節を鳴らすような動作をしない
- めまい、吐き気、しびれが出たら中止する
強く押すほど効果が高まるわけではありません。押した部分に痛みや赤みが残る場合は、刺激が強すぎる可能性があります。
片頭痛が疑われるときはマッサージを無理に行わない
片頭痛発作中は、頭皮やこめかみを揉むことが刺激となり、かえってつらく感じる場合があります。セルフマッサージは必須ではありません。
片頭痛が疑われるときは、次のような方法を優先しましょう。
- 可能であれば、静かで暗い場所で休む
- 痛む部分を、タオルで包んだ保冷剤などで軽く冷やす
- 入浴や激しい運動は、症状が落ち着くまで控える
- 医師から処方された薬は、指示された方法で使用する
- 市販薬を使用する場合は、説明書の用法・用量を守る
冷やすことが合わない方もいるため、不快に感じる場合は中止してください。
鎮痛薬を使う回数が増えている場合は、薬の使用によって頭痛が慢性化する「薬剤の使用過多による頭痛」が関係することもあります。自己判断で薬を増やさず、医療機関に相談しましょう。
頭痛時のツボ押しは補助的な方法として考える
ツボ押しは、東洋医学で用いられてきた補完的なセルフケアです。ただし、特定のツボを押せば頭痛が必ず軽くなるというものではなく、医療機関での診断や治療に代わる方法でもありません。
試す場合は、痛みを我慢して押さず、軽い刺激にとどめてください。刺激によって頭痛が強くなった場合は、すぐに中止しましょう。
百会(ひゃくえ)
百会は、頭頂部付近にあるとされるツボです。両耳の上端を結んだ線と、頭の中央を前後に通る線が交わるあたりが目安とされています。
- 中指の腹を頭頂部に軽く当てます。
- 痛みが出ない程度に、3秒ほどやさしく押します。
- ゆっくり離し、3~5回程度繰り返します。
合谷(ごうこく)
合谷は、手の甲側にある、親指と人差し指の骨が合流する手前付近のツボです。
- 反対側の親指を合谷付近に当てます。
- 痛みを我慢しない程度に、3秒ほど軽く押します。
- 左右それぞれ3~5回程度繰り返します。
妊娠中や治療中の病気がある方など、ツボ押しを行ってよいか不安がある場合は、医師や助産師などに相談してください。
風池(ふうち)
風池は、後頭部と首の境目付近にあるとされるツボです。この周辺は強く押さず、指の腹を軽く当てる程度にしましょう。
首を反らしたり、深く押し込んだりする方法は避けてください。押したときにめまい、吐き気、しびれなどが出る場合は中止しましょう。
頭痛があるときに避けたいセルフケア
次のような方法は、筋肉や皮膚に負担をかけたり、頭痛を悪化させたりする可能性があります。
- 痛みを我慢しながら強く押す
- 長時間同じ場所を揉み続ける
- 首を強くひねる、反らす、鳴らす
- 片頭痛発作中に強く頭皮を揉む
- 眼球を直接押す
- 飲酒後や体調が悪いときに無理に行う
セルフケアは、短時間でやさしく行うことが基本です。数分行っても変化がない場合は、無理に続けないようにしましょう。
すぐに医療機関へ相談したほうがよい頭痛
頭痛の中には、脳や血管、感染症などが関係する二次性頭痛が含まれます。次のような症状がある場合は、セルフマッサージを行わず、速やかに医療機関を受診してください。
- 突然発症し、短時間で非常に強くなった頭痛
- これまで経験したことがない強い頭痛
- 手足の麻痺やしびれ、ろれつの回りにくさがある
- 意識がもうろうとする、けいれんがある
- 急な視力低下や物の見え方の異常がある
- 発熱に加えて、首が硬い、意識の変化などがある
- 頭をぶつけた後に頭痛が続いている
- 頭痛の回数や強さが徐々に増えている
- 50歳以降に初めて強い頭痛が起きた
- 妊娠中や出産後に新しい強い頭痛が起きた
吐き気は片頭痛でもみられるため、吐き気だけで危険な頭痛とは限りません。ただし、いつもの頭痛とは異なる症状がある場合や、水分を取れないほど嘔吐が続く場合は、医療機関に相談しましょう。
デスクワーク中に取り入れたい頭痛対策
頭痛を完全に防げるわけではありませんが、生活の中で負担を減らす工夫はできます。
同じ姿勢を長時間続けない
パソコン作業やスマートフォンの使用中は、こまめに姿勢を変えましょう。肩を軽く動かしたり、立ち上がって歩いたりするだけでも、同じ姿勢が続くことを防げます。
目の周辺は押さずに休ませる
画面を長時間見続けているときは、定期的に画面から目を離し、遠くを見る時間を作りましょう。
目の周囲をケアする場合は、眼球を押さないことが重要です。強い力でまぶたや目の周囲を押す方法は避けてください。
睡眠や食事のリズムを見直す
寝不足だけでなく、休日の寝過ぎや食事を抜くことが片頭痛のきっかけになる方もいます。自分の頭痛が起こりやすい状況を記録し、無理のない範囲で生活リズムを整えましょう。
就寝前に体をほぐす場合は、頭痛が起きていないときに、肩を軽く動かしたり深呼吸したりする程度にとどめます。マッサージによって睡眠や頭痛が必ず改善するわけではありません。
まとめ|頭痛のタイプに合わせて無理のないセルフケアを選ぼう
セルフマッサージは、首や肩の張りを伴う軽い緊張型頭痛で、補助的なケアとして取り入れられることがあります。ただし、効果の感じ方には個人差があり、すべての頭痛に適した方法ではありません。
片頭痛が疑われる場合は、強いマッサージを避け、静かで暗い場所で休む、痛む部分を軽く冷やすなどの対処を優先しましょう。医師から薬を処方されている場合は、指示された方法で使用することも大切です。
突然の強い頭痛や、しびれ、麻痺、意識の変化などがある場合は、セルフケアを行わず速やかに医療機関を受診してください。頭痛が繰り返される場合や生活に支障がある場合も、自己判断を続けず、脳神経内科や頭痛専門外来などへの相談を検討しましょう。
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