「マッサージを受けた直後は楽に感じるものの、翌日には肩の重さが戻ってしまう」と感じる方もいるのではないでしょうか。
肩こりには、長時間同じ姿勢を続けること、運動不足、精神的な緊張、仕事環境など、さまざまな要因が関係します。また、肩や首の病気などが隠れていることもあるため、マッサージだけですべての肩こりに対応できるとは限りません。
この記事では、マッサージが効かないと感じる理由、自宅で取り入れられる対策、施術先を選ぶ際の注意点、医療機関を受診した方がよい症状について解説します。
マッサージが肩こりに効かないと感じる理由
マッサージを受けた後の変化や持続時間には個人差があります。筋肉の緊張が一時的にやわらいでも、普段の姿勢や仕事環境が変わらなければ、再び肩の重さや張りを感じることがあります。
また、肩こりの原因は筋肉の緊張だけではありません。複数の要因が重なっている場合や、病気に伴って症状が出ている場合もあります。
長時間同じ姿勢を続けている
パソコンやスマートフォンを長時間使用していると、頭が前に出たり、背中が丸まったりしやすくなります。このような姿勢が続くと、首や肩まわりの筋肉に負担がかかることがあります。
マッサージを受けても、仕事中の姿勢やデスク環境が変わらなければ、同じ部分に負担がかかり続けます。大切なのは、一つの姿勢を保ち続けることではなく、こまめに姿勢を変えて身体を動かすことです。
日常生活で同じ部分に負担がかかっている
片側だけでバッグを持つ、頬杖をつく、長時間運転するなどの習慣によって、身体の一部に負担が偏ることがあります。
すべての動作を左右均等にする必要はありませんが、バッグを持つ側をときどき変える、長時間同じ姿勢を続けないなど、負担が集中しない工夫を取り入れてみましょう。
施術の強さが身体に合っていない
強い刺激を好む方もいますが、痛みを我慢するほどの施術が適しているとは限りません。施術後に痛みが強くなる、皮下出血が生じる、しびれや違和感が出るといった場合は、刺激が身体に合っていない可能性があります。
施術中に強い痛みを感じたときは我慢せず、圧を弱めてもらいましょう。施術後も強い痛みやしびれが続く場合は、同じ施術を繰り返さず、医療機関に相談することが大切です。
ストレスや睡眠不足が重なっている
精神的な緊張が続くと、無意識に肩へ力が入ることがあります。また、睡眠不足や疲労が重なることで、肩の重さや張りを感じやすくなる場合もあります。
マッサージだけに頼るのではなく、休息を取る、軽く身体を動かす、仕事の合間に深呼吸するなど、心身の緊張をやわらげる時間をつくることも大切です。
肩こり以外の病気が関係している
肩や首の症状には、頚椎椎間板ヘルニア、肩関節周囲炎、胸郭出口症候群などが関係している場合があります。高血圧、目や耳の病気などに伴って肩こりのような症状が現れることもあります。
症状が長く続く場合や、腕や手のしびれ、力の入りにくさなどがある場合は、単なる肩こりと判断せず、整形外科などの医療機関に相談してください。
肩こりと一緒に現れることがある症状
肩こりでは、首から肩、背中にかけての張りや重さだけでなく、頭痛や吐き気を伴うことがあります。ただし、頭痛やめまいには肩こり以外にもさまざまな原因があります。
「肩がこっているから」と自己判断せず、症状の強さや現れ方に応じて医療機関を受診することが重要です。
早めに医療機関へ相談したい症状
- 肩や首の痛みが数週間続いている
- 腕や手にしびれがある
- 腕や手に力が入りにくい
- 肩を動かせる範囲が狭くなっている
- 夜間も痛みが続き、眠れない
- 発熱や体重減少など、肩こり以外の体調変化がある
- 転倒や事故の後から症状が続いている
このような症状がある場合は、まず整形外科への相談を検討しましょう。必要な検査は症状や診察結果によって異なり、医師の判断でX線検査やMRI検査などが行われる場合があります。
救急受診を検討したい症状
- 突然、経験したことのないような強い頭痛が現れた
- 顔や手足の片側にしびれや力の入りにくさがある
- 言葉が出にくい、ろれつが回らない
- 意識がもうろうとする
- 急にまっすぐ歩けなくなった
- 強いめまいと嘔吐が突然現れた
これらは脳卒中など緊急性の高い病気でも現れる症状です。肩こりの一部と考えず、救急車を呼ぶことも含め、速やかに医療機関を受診してください。
施術先を選ぶときに確認したいポイント
肩や首のケアを受ける場所には、あん摩マッサージ指圧の施術所、鍼灸院、リラクゼーションサロン、整体などがあります。それぞれ資格制度やサービスの目的が異なるため、違いを理解したうえで選ぶことが大切です。
マッサージとリラクゼーションの違いを確認する
日本では、医師以外が「あん摩・マッサージ・指圧」を業として行う場合、あん摩マッサージ指圧師の国家資格が必要です。
一方、もみほぐしやリラクゼーションは、国家資格に基づくあん摩マッサージ指圧とは別のサービスとして提供されている場合があります。利用前に、施術者がどのような資格を持ち、どの範囲のサービスを提供しているのか確認しましょう。
施術前に体調を確認してくれる
施術前に、現在の症状、過去のけが、通院状況、服薬状況などを確認してくれるかは、安全に利用するためのポイントです。
しびれや強い痛みがあるにもかかわらず施術を勧める、病院への受診を止める、病名を断定するといった対応がある場合は注意が必要です。
刺激の強さを調整してくれる
施術中の感じ方を確認しながら、刺激の強さを調整してくれる施術者を選びましょう。「強いほど効く」「痛いほど改善する」とは限りません。
痛みや違和感を伝えにくい雰囲気の店舗は避け、自分の体調を伝えやすい場所を選ぶことが大切です。
効果を断定する説明をしていない
肩こりの感じ方や施術後の変化には個人差があります。「必ず治る」「一度で改善する」「骨格の歪みを完全に戻す」といった説明には注意しましょう。
施術の目的、考えられる変化、注意点、施術後に症状が悪化した場合の対応を分かりやすく説明してくれるかを確認してください。
自宅で取り入れられる肩こり対策
自宅での対策は、無理のない範囲で継続することが大切です。強い痛みやしびれがある場合はセルフケアを中止し、医療機関に相談してください。
肩甲骨まわりをゆっくり動かす
両手の指先を肩に軽く置き、肘で円を描くように肩をゆっくり回します。前回しと後ろ回しを、それぞれ5〜10回程度行いましょう。
勢いをつけず、痛みのない範囲で動かしてください。肩に強い痛みがある場合や、腕が上がりにくい場合は無理に行わないようにしましょう。
胸の前を軽く伸ばす
背中が丸まった姿勢が続くと、胸の前側が縮こまりやすくなります。椅子に座った状態で両手を身体の後ろに置き、無理のない範囲で胸を開きます。
呼吸を止めず、10〜20秒程度を目安に行ってください。首を大きく反らしたり、肩を無理に後ろへ引いたりする必要はありません。
肩まわりを温める
蒸しタオルや入浴で肩まわりを温めると、筋肉の緊張がやわらぎ、リラックスしやすくなる場合があります。
熱すぎるお湯や長時間の入浴は身体への負担になることがあります。体調に合わせて、心地よいと感じる範囲で行いましょう。心臓や血圧などの持病がある方は、医師から受けている指示を優先してください。
軽い運動を習慣にする
ウォーキングなどの軽い運動は、身体を動かす機会を増やし、長時間同じ姿勢を続けることを防ぐ方法の一つです。
最初から長時間行う必要はありません。短い時間から始め、痛みや息苦しさが出ない範囲で続けましょう。
デスクワーク中に肩への負担を減らす工夫
デスク環境は、身体の大きさや使用している機器に合わせて調整する必要があります。次の点を確認してみましょう。
- 画面との距離をおおむね40cm以上確保する
- 画面の上端を目の高さと同じか、やや下にする
- 椅子に深く腰かけ、背もたれを使用する
- 足裏全体が床につくように椅子の高さを調整する
- 足が床につかない場合は足台を使用する
- 肩に力を入れずにキーボードやマウスを操作できる位置にする
作業の合間に小休止を入れる
長時間の作業では、同じ姿勢を続けないことが重要です。少なくとも1時間ごとを目安に作業を区切り、その間にも短い小休止を入れましょう。
立ち上がる、遠くを見る、肩を軽く回すなど、短時間でも姿勢を変えることがポイントです。仕事の都合で休憩を取りにくい場合は、電話や印刷物を取りに行く時間を身体を動かす機会として活用できます。
肩こり対策として見直したい生活習慣
睡眠時間と寝室環境を整える
睡眠不足が続くと、疲労感や身体の不調を感じやすくなることがあります。就寝時間と起床時間を大きくずらさず、自分に必要な睡眠時間を確保しましょう。
就寝直前まで明るい画面を見る習慣を見直し、寝室ではスマートフォンを手の届きにくい場所へ置くことも一つの方法です。
枕には、すべての人に共通する理想的な高さはありません。首や肩に痛みが出る場合は、高さや硬さを調整し、それでも症状が続く場合は医療機関に相談しましょう。
身体を動かす時間を確保する
運動不足を感じている場合は、散歩、軽い体操、階段の利用など、生活の中で身体を動かす機会を増やしてみましょう。
運動による変化には個人差があります。持病がある方や、運動中に痛み、しびれ、息苦しさなどが出る方は、医師に相談してから始めてください。
栄養バランスを意識する
特定の食品だけで肩こりが改善するとは限りません。主食、主菜、副菜を組み合わせ、極端に偏らない食生活を心がけることが基本です。
水分不足や食事を抜く習慣が体調に影響する場合もあるため、生活リズムに合わせて無理なく整えましょう。
マッサージを受けても肩こりが続く場合の選択肢
整形外科で原因を確認する
セルフケアを続けても症状が変わらない場合や、痛みやしびれが強くなっている場合は、整形外科への相談を検討しましょう。
整形外科では、問診や身体の動き、神経の状態などを確認し、必要に応じて画像検査などが行われます。原因によっては、薬物療法、運動療法、リハビリテーションなどが提案されることがあります。
鍼灸を利用する場合は資格を確認する
鍼灸を受ける場合は、「はり師」「きゅう師」の国家資格を持つ施術者であることを確認しましょう。
鍼灸による変化の感じ方には個人差があります。医療機関で治療を受けている方や、血液を固まりにくくする薬を服用している方などは、利用前に医師や施術者へ伝えてください。
整体やリラクゼーションは医療の代わりにしない
整体には、あん摩マッサージ指圧師やはり師、きゅう師のような統一された国家資格制度はありません。施術内容や施術者の経験には差があります。
整体やリラクゼーションを利用する場合も、病気の診断や治療の代わりにはなりません。強い痛み、しびれ、筋力低下などがある場合は、先に医療機関を受診しましょう。
肩こりにマッサージが効かないと感じたら原因を一つに決めつけないことが大切
マッサージを受けても肩こりが戻る背景には、長時間の同一姿勢、仕事環境、運動不足、精神的な緊張など、複数の要因が関係している可能性があります。
まずは、画面や椅子の高さを見直す、作業の合間に肩を動かす、入浴や蒸しタオルで温めるなど、無理なく続けられる方法から取り入れてみましょう。
ただし、セルフケアや施術ですべての肩こりに対応できるわけではありません。症状が長引く場合や、強い痛み、しびれ、力の入りにくさなどがある場合は、自己判断で施術を繰り返さず、医療機関に相談することが大切です。
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