腰を楽にしたくてマッサージやもみほぐしを受けたものの、施術後に痛みが強くなったり、違和感が長引いたりすることがあります。
施術後の痛みには、強すぎる刺激による一時的な圧痛だけでなく、もともとの腰痛が悪化したケースや、医療機関での診察が必要な病気・けがが隠れているケースもあります。そのため、すべてを「揉み返し」や「好転反応」として片づけるのは適切ではありません。
この記事では、マッサージ後に腰痛が悪化する主な要因、症状が出たときの対応、医療機関を受診する目安、安全に施術先を選ぶポイントを解説します。
マッサージ後に腰痛が悪化・長引く主な2つの要因
施術後に腰痛が強くなった場合、大きく分けて「刺激が身体の状態に合っていなかった場合」と「マッサージでは対応できない原因があった場合」が考えられます。
強さや施術内容が身体の状態に合っていなかった
強く押された部分に痛みや圧痛が出たり、皮膚が赤くなったりすることがあります。一般には「揉み返し」と呼ばれることがありますが、正式な医学的診断名ではありません。
施術後の痛みが、強い刺激による一時的な反応なのか、もともとの腰痛の悪化なのかを症状だけで明確に判断することは困難です。痛いほど効果が高いとは限らないため、施術中に強い痛みを感じた場合は我慢せず、すぐに刺激を弱めてもらうか施術を中止しましょう。
血液を固まりにくくする薬を使用している方、出血しやすい病気がある方、骨粗しょう症を指摘されている方、皮膚に傷や炎症がある方などは、強い刺激を避ける必要があります。持病や服薬がある場合は、施術前に医師や施術者へ伝えることが大切です。
マッサージでは対応できない原因が隠れていた
腰痛には、筋肉の張りだけでなく、椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、骨折、感染症、腫瘍、内臓の病気など、さまざまな原因があります。
マッサージを受けた後に痛みが強くなったとしても、必ずしも施術だけが原因とは限りません。施術を受ける前から病気やけがが進行していた可能性もあります。
特に、足のしびれや筋力低下、発熱、安静にしていても軽くならない痛みなどがある場合は、マッサージを繰り返す前に整形外科などの医療機関へ相談しましょう。
「揉み返し」と「好転反応」を自己判断しない
揉み返しは正式な診断名ではない
施術後に出る痛み、だるさ、圧痛などを、一般に「揉み返し」と表現することがあります。しかし、症状が出た時間や続いた日数だけで、原因を判定することはできません。
軽い違和感が短時間で落ち着くこともありますが、強い痛み、腫れ、皮膚の変色、しびれ、動かしにくさなどがある場合は、単なる一時的な反応と決めつけないことが重要です。
好転反応だから大丈夫とは限らない
施術後のだるさや痛みについて、「身体が良くなる途中の好転反応」と説明されることがあります。しかし、強い症状や長引く症状を好転反応として我慢することは避けてください。
症状が悪化した場合は施術を中断し、痛みの強さや範囲、しびれの有無、発熱などを確認します。時間がたっても軽くならない場合や、次第に悪化する場合は医療機関に相談しましょう。
マッサージ後に腰痛が強くなったときの対処法
追加のマッサージや強い刺激を中止する
痛みを早く軽くしようとして、さらに強く揉んだり、マッサージガンを当てたりするのは避けましょう。刺激を重ねることで、痛みや皮膚のトラブルが強くなる可能性があります。
施術後に症状が悪化した場合は、まず追加の刺激をやめ、どのような症状が出ているかを確認してください。
長時間寝たままにせず、可能な範囲で日常動作を続ける
痛みが強い直後は、楽な姿勢で休むことも必要です。ただし、重大な病気やけがが疑われない一般的な腰痛では、長時間寝たままにするよりも、痛みが悪化しない範囲で日常動作を続けることが勧められています。
急に重い物を持つ、深く腰を曲げる、勢いよくひねるといった動作は避けながら、室内を短時間歩くなど、無理のない範囲で身体を動かしましょう。
動くたびに痛みが急激に強くなる場合や、足に力が入らない場合は、無理に動かさず医療機関に相談してください。
冷却や温熱は安全に短時間試す
冷やすか温めるかは、症状や本人の感じ方によって異なります。一律にどちらかが正しいとはいえません。
強く押された部分に熱感や腫れがあり、冷やすと心地よく感じる場合は、保冷剤をタオルで包んで短時間当てる方法があります。筋肉の張りがあり、温めると楽に感じる場合は、蒸しタオルなどを使用する方法もあります。
いずれの場合も、保冷剤や加熱器具を皮膚へ直接当てないでください。感覚が鈍い部分、血流障害がある部分、皮膚に傷や炎症がある部分への使用は避けましょう。使用して痛みが強くなる場合は中止してください。
市販薬は用法・用量を守って使用する
腰痛に使用できる市販の鎮痛薬や外用薬もありますが、誰でも同じように使用できるわけではありません。
胃腸・腎臓・肝臓・心臓などの病気がある方、妊娠中・授乳中の方、他の薬を使用している方は、購入前に医師や薬剤師へ相談してください。
薬を使用しても症状が軽くならない場合や、使用をやめるとすぐ強い痛みが戻る場合は、自己判断で使い続けず医療機関を受診しましょう。
早めに医療機関を受診したい腰痛のサイン
腰痛の中には、早急な診察が必要なものがあります。次の症状がある場合は、マッサージやもみほぐしで様子を見ず、医療機関へ相談してください。
排尿・排便の異常や会陰部のしびれがある
次の症状は、腰の神経が強く圧迫される「馬尾症候群」などの可能性があります。
- 尿が出にくい、または尿を我慢できない
- 便を漏らす、または排便の感覚が分かりにくい
- 股の間、陰部、お尻の周辺にしびれや感覚の低下がある
- 両足に急なしびれや力の入りにくさが出た
これらは緊急性が高い症状です。該当する場合は、速やかに救急外来などの医療機関を受診してください。
しびれや筋力低下が強くなっている
片足または両足のしびれ、つまずきやすさ、足首が動かしにくいといった症状がある場合は、神経が刺激または圧迫されている可能性があります。
しびれが広がっている、力が入りにくくなっている、歩行が難しくなっている場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
安静時の痛みや発熱などを伴う
次のような症状や状況がある場合も、自己判断でマッサージを続けないことが大切です。
- 安静にしていても痛みが軽くならない
- 時間とともに痛みが強くなっている
- 発熱や強い倦怠感を伴う
- 夜間に痛みで目が覚める状態が続く
- 大きく転んだ後や事故の後から痛みがある
- 骨粗しょう症を指摘されている
- がんの治療歴がある
- 理由の分からない体重減少がある
腰痛は背骨だけでなく、血管、泌尿器、婦人科、消化器などの病気で起こることもあります。腰痛とともに胸や腹部の強い痛み、冷や汗、息苦しさなどがある場合は、速やかに医療機関へ相談してください。
腰痛を悪化させる可能性がある施術の特徴
強い痛みを我慢させる
「痛いほど効く」「強く押さなければほぐれない」と説明し、強い痛みを我慢させる施術には注意が必要です。
施術中に鋭い痛み、しびれ、電気が走るような感覚、吐き気、めまいなどが出た場合は、すぐに施術を中止してもらいましょう。
病歴や現在の症状を確認しない
腰痛の原因は一つではありません。発症した時期、けがの有無、しびれ、発熱、服薬、骨粗しょう症などを確認せずに施術を始める施設は慎重に判断する必要があります。
すべての症状を施術だけで判断するのではなく、必要な場合に医療機関の受診を勧めてくれるかも重要です。
好転反応として施術の継続を勧める
施術後に強い痛みやしびれが出ているにもかかわらず、「効いている証拠」「好転反応なので続けた方がよい」と説明される場合は注意してください。
症状が悪化したときは施術を中断し、必要に応じて医療機関の診察を受けることが優先されます。
効果や治癒を保証する
「必ず治る」「一度で改善する」「通えば再発しない」など、結果を保証する説明にも注意が必要です。
腰痛の原因や経過には個人差があり、マッサージだけですべての腰痛を解決できるわけではありません。
腰痛があるときの施術先の選び方
最初に医療機関での診察が必要かを確認する
強い痛み、しびれ、筋力低下、発熱、外傷後の痛みなどがある場合は、施術先を探す前に整形外科などの医療機関を受診しましょう。
診断が必要な腰痛をマッサージだけで判断することはできません。原因に応じて、検査、薬物療法、リハビリテーションなどが必要になる場合があります。
施術者の資格と対応範囲を確認する
日本では、医師以外があん摩・マッサージ・指圧を業として行う場合、あん摩マッサージ指圧師の国家資格が必要です。
一方、「整体」「もみほぐし」「リラクゼーション」などの名称は、国家資格の保有を示すものではありません。店舗名やサービス名だけで判断せず、施術者がどの資格を持っているか、どのような目的と範囲で施術するのかを確認しましょう。
柔道整復師も国家資格ですが、主な業務範囲は骨折、脱臼、打撲、捻挫などの損傷に対する施術です。あん摩マッサージ指圧師とは資格の目的や業務範囲が異なります。
カウンセリングと説明があるか確認する
施術前に症状や病歴を確認し、予定している施術内容、刺激の強さ、注意点を説明してくれるかを確認しましょう。
施術中に強さを変更できるか、痛みが出た場合にすぐ中止できるかも重要な判断材料です。
口コミだけで判断しない
口コミは店舗の雰囲気や接客を知る参考になりますが、施術の安全性や、自分の腰痛に適しているかを保証するものではありません。
評価の件数や点数だけでなく、資格の表示、料金体系、施術内容、医療機関との役割の違いを明確に説明しているかを確認しましょう。
マッサージだけに頼らない腰痛対策
マッサージは、一部の腰痛で一時的に楽に感じられる場合がありますが、すべての腰痛に適しているわけではありません。
腰痛への対応では、身体の状態に合わせた運動、日常活動の継続、作業環境の調整、睡眠や休養などを組み合わせて考えることが大切です。
同じ姿勢を長時間続けない
デスクワークや運転では、特定の姿勢を完璧に維持することよりも、同じ姿勢を長く続けないことを意識しましょう。
可能であれば定期的に立ち上がり、短時間歩いたり、楽な範囲で身体を動かしたりします。運転中は安全な場所で休憩を取り、姿勢を変える時間を作りましょう。
痛みがない範囲で身体を動かす
重大な病気やけがが疑われない場合は、短時間の歩行など、痛みが悪化しない活動から始めます。
運動の種類や量は、年齢、体力、腰痛の原因によって異なります。鋭い痛み、しびれ、足の力の入りにくさが出た場合は中止し、医療機関へ相談してください。
ストレッチは無理のない範囲で行う
お尻や太ももの筋肉を伸ばすストレッチが、身体を動かしやすくする場合があります。ただし、すべての腰痛に同じストレッチが適しているわけではありません。
反動をつけず、軽く伸びる範囲で行いましょう。ストレッチ中に腰や足へ痛みが広がる場合、しびれが出る場合、施術後に痛みが強くなっている場合は中止してください。
腰痛とマッサージに関するよくある質問
マッサージガンを腰に使っても大丈夫ですか?
筋肉のケアとして使用されることがありますが、すべての腰痛に適しているわけではありません。
背骨や骨の出っ張りへ直接当てることや、痛み・腫れ・皮膚の異常がある部分、感覚が鈍い部分へ使用することは避けましょう。機器ごとの取扱説明書を確認し、最も弱い設定から短時間試してください。
しびれ、筋力低下、外傷後の痛み、骨粗しょう症、出血しやすい病気などがある方は、自己判断で使用せず医療機関に相談しましょう。
施術はどのくらいの頻度で受ければよいですか?
腰痛の原因、施術の目的、身体の状態によって異なるため、すべての人に共通する理想的な頻度はありません。
施術後に痛みが強くなる、効果が短時間しか続かない、通う回数が増え続けるといった場合は、同じ施術を繰り返すのではなく、医療機関で原因を確認することも検討しましょう。
マッサージを利用する場合も、それだけに頼らず、状態に応じた運動や生活上の工夫と組み合わせて考えることが大切です。
腰痛は温めるのと冷やすのではどちらがよいですか?
症状や原因によって異なり、一律にどちらが正しいとはいえません。
温めると楽になる方もいれば、施術後の局所的な熱感や腫れに対して、短時間冷やすと楽に感じる方もいます。心地よく感じる方法を皮膚の状態に注意しながら短時間試し、悪化する場合は中止してください。
強い痛み、発熱、しびれ、筋力低下、排尿・排便の異常などがある場合は、温熱や冷却だけで様子を見ず、医療機関を受診しましょう。
マッサージ後の腰痛を好転反応と決めつけないことが大切
マッサージ後に腰痛が強くなった場合は、追加の施術をいったん中止し、痛みの強さ、しびれ、筋力低下、発熱などの症状を確認しましょう。
一時的な圧痛やだるさが出ることはありますが、症状の出た時間や続いた日数だけで「揉み返し」と判断することはできません。「好転反応だから大丈夫」と我慢することも避けてください。
排尿・排便の異常、股の間のしびれ、両足の急な筋力低下などがある場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。安静にしていても軽くならない痛み、発熱、外傷後の痛み、次第に悪化する症状がある場合も、早めに整形外科などへ相談しましょう。
施術を受ける場合は、資格の名称だけでなく、病歴や症状を確認してくれるか、強さを調整できるか、必要なときに医療機関の受診を勧めてくれるかを確認することが大切です。マッサージだけに頼らず、身体の状態に合った運動や日常生活の工夫も含めて腰痛への対応を考えましょう。
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